『PORTRAIT』インタビューVol.5 柳原由佳

「今西バンドのメンバーは少年のような(笑)」

柳原由佳

LINXやKHAMSIN’18といったオリジナル曲を中心に演奏するインスト・バンドやヴォーカルとの二人組ユニットなど様々なバンドで活躍するピアニスト、柳原由佳。ソロ・ピアノでもアルバムを2枚もリリースされており、経験豊富なピアニストの参加はきっと今西セクステットにとっても大きなプラスだったに違いない。お話をうかがったのが、今西さんが双頭バンドのリーダーを務める、ボーンオロジーのライヴ終了後ということで、途中から今西さんにもインタビューに参加してもらった。

●バンドの空気感
――今は大阪と東京の両方で活動されているとうかがいましたが。

そうですね。明後日からまた東京で、今はひと月のうち半分づつ大阪と東京に滞在しています。だから、大変ですね。東京のライヴはちょっとずつ増えてきている段階です。どんな編成でもオリジナル曲を演奏する機会が多いかな。そういう演奏が好きなんで、大阪でも増えてきていて嬉しいです。セクステットでもオリジナル多いし。

――新加入ということですが、今西セクステットのバンドの雰囲気などの印象はどうでしょうか?

みなさんキャラがたっているじゃないですか?全然気にしていないんですけど、女性が一人だけなんで、なかなか男同士の会話にはねえ・・・。入りたいんですけど(笑)

――ああ、でも今西セクステットって、ちょっと男子校みたいなイメージがありますかね?

そうですね、男子校みたいな感じですよね。少年のようなバンドというか。光岡さんとかアニキみたいな感じでしょうか。(同じく最年長の)弦牧さんはいじられキャラなのかな?バンドの雰囲気がやんちゃだな、と思うこともありますね。

――もう一人のピアニストが永田有吾さんですが、アルバム収録曲をどちらが演奏するという振り分けはお二人でされたとうかがいましたが。

私は4曲演奏したのですが、アップテンポの曲に関してはブルースと循環(スタンダードでよくみられるコード進行の一つ)の2曲あったので、1曲ずつやろうという話になりました。私が循環を演奏して、永田くんがブルースを演奏しました。最近、ブルースは演奏していなかったので自然と循環を選びました。

摂津本山のボーンフリーにて。2トロンボーンバンド、ボーンオロジーのピアニストも務める

●作曲科出身の柳原さんに今西さんのオリジナル曲について訊く
――作曲科出身の柳原さんにうかがいたいのですが、今西さんのオリジナル曲についてはどういう印象でしょうか。

今西さんはスタンダードもすごく詳しいですよね。コード・チェンジ滑らかなような気がします。なので、聴いていて耳心地がいい。Ⅱ-Ⅴとかジャズでよく使われているコード進行を無理に使う、とかされていないですよね。

私は色彩とか風などからイメージを受けて表現する曲が多いんですけど、たとえば「Musicuriosity」とか、色鮮やか感じですよね。その理由はコード進行を先に考えて作られていないと思う。AABAだとか、ABACだとかいうフォームにもとらわれていないんですよね。着地点もキャッチ―だし、一回聴くと耳に残るという印象ですかね。そういうのは性格からの影響が多分にあると思います。日本人だから日本人が共感できるコード進行とかを選ばれているというのがあるのかもしれないですね。

――演奏していて難しい曲とかありますか?

「Fellowship」ですね。イントロが難しかったです。録音でも何度も練習し直したりしました。そのときにみんなが協力的で、「がんばれがんばれ」とか応援してくれて有難かったですね。
何曲か根を詰めて、今日中にこれは絶対、録らなくちゃいけない曲もあったんですが、みなさんいい雰囲気をつくって下さって、上手い人っていい人が多いんだな、って思いました(笑)楽しかったです。

――弦牧さんと光岡さんのリズム隊はどうでしたか。

やんちゃな少年が遊んでいる(笑)面白くて生き生きしてる。2人のアニキ、いつも頼りにしてます。

●今西さんにもインタビューに参加してもらって
――いま、今西さんの曲についてうかがっているんですけど。

柳原: 「Smile Maker」とかキャッチ―ですよね。色彩豊かな曲が多いですよね。

今西: 作曲するときにカラフルな曲にしよう、というのは心掛けています。

談笑する今西さんと柳原さん

――當村さんのバッキングについてはどうですか?

今西: まあ、キーマンですよね。ぼくとか横尾くんなんかはコンピングしやすいけど、當村くんはただならぬ緊張感があるから、難しいかも。

柳原: 當村さんの場合、まず光岡さんがどう動くかをみます。でも、光岡さんけっこう我が道を行って動じないですよね。

今西: うん、そうですよね。

――光岡さんは、インタビューでは弦牧さんの反応をみてから動く、って言っていました。弦牧さんが見失わないようにキープすることもあるって。

今西: それはあると思う。

柳原: 弦牧さんは當村さんのこと大好きなんやなあ、と思う。実際、梅田で演奏したとき、デュオになって10分くらいずっと演奏していたことはある。

今西: 10分は言いすぎやけど(笑)、体感10分くらいだったかも。

柳原: このバンドのフロント3人は全然、キャラクターが違ってて面白いですよね。

●好きなピアニストについて
今西: 好きなピアニストとか誰なんですか?

柳原: キース・ジャレットとかアーロン・パークスかな。あっ、ハービー・ハンコックも。

今西: なるほど、やっぱりそういう感じか。全然違うかもしれないけど、ケニー・バロンとかフレッド・ハーシュの新譜聴いてて柳原さんっぽいとこあるなあ、って勝手に思ったりしてました。

柳原: ああ、ハーシュは好きです。めっちゃはまったときもあります。最近はすごい新譜だしてますよね。神々しい感じも好きです。あと、ブラッド・メルドーも好き。

今西: えっ、メルドー好きなんや?なんか、あの人は冷たい感じがするでしょ?暖かくないイメージかな。バラッドとか弾いてもなんか冷たい感じがするわ。音色がキーンってしている。

柳原: でもそれは研ぎ澄まされた感覚からきているものだったりしません?

今西: ああ、そうなんかも。でも由佳ちゃんは何弾いても暖かいもん!

柳原: ゆるゆるですか(笑)

今西: いやいや、心をこめて弾いてくれている感じがする!

――確かに、ジ・アート・オブ・トリオの頃は厳しい音楽をやっていたと思うんですけど。

柳原: あのトリオは疲れていると私、聴けないときがありますね。

今西: 分かる。しんどい時あるよねー。

柳原: お子さん生まれてから変わった気がします。『Highway Rider』(Nonesuch)とか。

今西: へぇ。あれお子さん生まれてからなんやー。

談笑する・・・パート2

●最後にドラマー、柳原由佳について
――学生時代にドラムスもされていたと聞いたのですが。

柳原: バークリー音大もドラムスで行こうかと思ったくらい好きです。

今西: 今はやっていないの?

柳原: 今はやっていないです。またやりたいですね。

――いつか、柳原さんのドラムスが聴けるのを楽しみにしています!

<後日談>
インタビュー終了後、今西さんは「全然、アシストできてないっすわー」などと自省しておられましたが、メンバー同士の会話は通常のインタビューと全く内容もノリも変わるので面白かったです。たとえば、好きなミュージシャンを尋ねるということの嫌味のなさや、その後の会話がスルスルとでてくるのは同じレベルの仲の良いミュージシャンだから聞くことができたんじゃないかな?と思いました。

しらきたかね

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