『PORTRAIT』インタビュー

セクステットの5th Album『PORTRAIT』を作製するにあたりライナーノーツを作家のしらきたかねさんに依頼しました。
しらきさんは快諾してくださり、さらにはライナーを書くにあたりバンドメンバーへインタビューを行い、ライナーノーツに使わなかった話はこのホームページで公開するという、僕にしてみればどう考えても有難い流れになりました。

さて、そのインタビュー記事達、どれもとても濃い内容になっております。
どうぞお楽しみ下さい。

『PORTRAIT』インタビューVol.1 當村邦明

『PORTRAIT』インタビューVol.2 光岡尚紀

『PORTRAIT』インタビューVol.3 横尾昌二郎

『PORTRAIT』インタビューVol.4 弦牧潔

『PORTRAIT』インタビューVol.5 柳原由佳

『PORTRAIT』インタビューVol.6 永田有吾

〈近日公開予定〉
『PORTRAIT』インタビューVol.7 今西佑介(前編)
『PORTRAIT』インタビューVol.8 今西佑介(後編)

『PORTRAIT』インタビューVol.6 永田有吾

「イントロは即興で弾くと思います」

永田有吾

再び旺盛な活動を開始したことでも、これから注目していきたいピアニスト、永田有吾。 大学在学中にリーダー・アルバムをリリースしたという鮮烈なデビューを覚えているファンも多いだろう。そんな永田さんは、今西さんとはその頃からという意外にも(?)古い付き合いとのこと。インタビューは、今西佑介セクステットのライヴ前ということで、他のバンド・メンバーにも参加してもらってにぎにぎしく行った。ということで、バンドの雰囲気や会話のノリも少し残しながら、インタビューとして再構成してみた。その点もぜひ楽しんでいただきたい。

當村さんのソロに対するバッキングについて

――當村さんへのインタビューで、バッキングに関しての話がでたんです。で、ご自身も「みなさん、どういう考えでバッキングされているんでしょうか?」って話されていたので、柳原さんにも聞いてみたりしているんです。普通じゃないソロなんでちょっと気になっているんです。

今西: 普通じゃないように聴こえるかもしれませんけど、実際、採譜してみたら案外アウトしていないんですけどね。

弦牧: なるほど。二人ともどうしてるんやろか?

永田: ぼくは、當村さんに反応するというか、弦牧さんと光岡さんのお二人をまずみて、合わせるようにしていますね。

――當村さんって抽象的なソロをとられるイメージがあるんですけど、そういったところで反応されるってことはありますか?

永田: そうですね、當村さんと一緒にぼくまでそちらへ行くと全くわからない世界になってしまうかもしれないんで、それはしないかなあ。

新作に収録されている永田作「Serendipity」について

――M1.「Serendipity」を作曲された経緯を聞かせてください。今西さんの要請などがあって作曲された曲なのでしょうか?

永田: 今年(2018年)の2月くらいにピアノ・トリオとかでやろうとして元々は創っていた曲なんです。それで今西さんから何か曲を提供して欲しいという話があったので、改めてセクステット用にアレンジしなおしました。

――メンバーのみなさんは永田さんの曲についてどう思われていますか?今西さんは永田さんの曲が好きだっておっしゃっていましたけど。

今西: 彼のカラーがありますよね。マイナー調の曲も単純にそう聴こえないとか。コード進行も独特なところがあるので難しいですね。弾きこなして慣れるまでは。

横尾: 今西さんの曲でもそういうところがありますけどね。

今西オリジナル曲について

――逆に今西さんのオリジナル曲についての印象はいかがでしょうか?

永田: ぼくも好きですよ(笑)実は、今西さんとはけっこう付き合いが古くて、キャリアの最初期からセッションなどでご一緒しているんです。「Warmest Regards」(『CRISP』収録)とか好きな曲ですね。

――ポップスの要素があるっていう指摘に関してはどうですか?

永田: ああ、前作に収録されていた「Touch of Spring」とか確かにキャッチ―ですよね。

今西: うーん、でもポップスみたいと言われるとなあ~。

――嫌ですか?

今西: そうですね。「ポップ」だ、って言われるのは耳当たりが軽くて聴きやすいって意味で取れて全然いいんですけど。「ポップスみたい」ってなんか、ジャズじゃないって言われてる感じしますね。具体的に「ビートルズみたい」とか言われてもあまりいい気はしないし。似ているという意味で「~みたい」と言われるのは嫌です。

横尾: 「ポップスみたい」って言うのは言い方が悪いですよね。

今西: っていうか、ビートルズって、あれはポップスなんかな、ロックなんかな?

横尾: まあ、あの時代に登場したときはポップスじゃないですか。

柳原さんについて

――同じくピアニストとして参加されている柳原さんの録音日に見学されたと伺ったんですが、そのときの印象などありましたら、お聞かせください。

永田: M3.「Musicuriosity」の録音の前に「イントロ何か考えてこられましたか?」って聞いたら、まだ決めてないって言われてたんですが、いざ、録音が始まったら、収録されているイントロをインプロで弾かれたんですよね。凄くないですか?あのイントロ大好きです。

――あー、あれはその場で、即興で弾かれたんですか!

永田: それ以前にも、あるお店で柳原さんのソロのCDがかかっていてそれが素晴らしかったんです。それで、その後バッタリお会いしたときにそのことを伝えたらそのCDをいただいたことがあったんですよ。

――新作ではM9.「Fellowship」は柳原さんが弾いておられますが、ライヴでは永田さんが弾かれることがあると思います。収録されているイントロはかなり印象的なバップ・フレーズですが、永田さんが弾かれるときはどうされますか?

永田: うーん(笑)なぞりはしないですね、ぼくのフレーズで、即興で弾くと思います。

――最後に今後のご予定とかありますか?

永田: 9月にNYに行く予定なんです。こっちからあちらに行っているミュージシャンの方にも会いたいし、いろいろ音楽を吸収してきたいですね。

<後日談>

せっかくライヴ前に永田さんにお話しをうかがうということで、よければメンバーのみなさん全員に参加していただいて…と提案したのは確かにこちらに違いない。それは、柳原さんのインタビュー時に今西さんに参加してもらったところ、殊の外、上手くいったことに味をしめてのことだったんだけど。いみじくも、柳原さんがインタビューで指摘していた通り、メンバーが集まると男子校にノリそのものになるので、話は千々に乱れに乱れて。っていうのは私の仕切り下手の言い訳に過ぎないんですが。そんな中、永田さんは的確に短くバシバシと答えて下さりました。完全に私の尻拭いをしていただいた感じで、非常にありがたかったです。というか、すんませんでした。

しらきたかね

『PORTRAIT』インタビューVol.5 柳原由佳

「今西バンドのメンバーは少年のような(笑)」

柳原由佳

LINXやKHAMSIN’18といったオリジナル曲を中心に演奏するインスト・バンドやヴォーカルとの二人組ユニットなど様々なバンドで活躍するピアニスト、柳原由佳。ソロ・ピアノでもアルバムを2枚もリリースされており、経験豊富なピアニストの参加はきっと今西セクステットにとっても大きなプラスだったに違いない。お話をうかがったのが、今西さんが双頭バンドのリーダーを務める、ボーンオロジーのライヴ終了後ということで、途中から今西さんにもインタビューに参加してもらった。

●バンドの空気感
――今は大阪と東京の両方で活動されているとうかがいましたが。

そうですね。明後日からまた東京で、今はひと月のうち半分づつ大阪と東京に滞在しています。だから、大変ですね。東京のライヴはちょっとずつ増えてきている段階です。どんな編成でもオリジナル曲を演奏する機会が多いかな。そういう演奏が好きなんで、大阪でも増えてきていて嬉しいです。セクステットでもオリジナル多いし。

――新加入ということですが、今西セクステットのバンドの雰囲気などの印象はどうでしょうか?

みなさんキャラがたっているじゃないですか?全然気にしていないんですけど、女性が一人だけなんで、なかなか男同士の会話にはねえ・・・。入りたいんですけど(笑)

――ああ、でも今西セクステットって、ちょっと男子校みたいなイメージがありますかね?

そうですね、男子校みたいな感じですよね。少年のようなバンドというか。光岡さんとかアニキみたいな感じでしょうか。(同じく最年長の)弦牧さんはいじられキャラなのかな?バンドの雰囲気がやんちゃだな、と思うこともありますね。

――もう一人のピアニストが永田有吾さんですが、アルバム収録曲をどちらが演奏するという振り分けはお二人でされたとうかがいましたが。

私は4曲演奏したのですが、アップテンポの曲に関してはブルースと循環(スタンダードでよくみられるコード進行の一つ)の2曲あったので、1曲ずつやろうという話になりました。私が循環を演奏して、永田くんがブルースを演奏しました。最近、ブルースは演奏していなかったので自然と循環を選びました。

摂津本山のボーンフリーにて。2トロンボーンバンド、ボーンオロジーのピアニストも務める

●作曲科出身の柳原さんに今西さんのオリジナル曲について訊く
――作曲科出身の柳原さんにうかがいたいのですが、今西さんのオリジナル曲についてはどういう印象でしょうか。

今西さんはスタンダードもすごく詳しいですよね。コード・チェンジ滑らかなような気がします。なので、聴いていて耳心地がいい。Ⅱ-Ⅴとかジャズでよく使われているコード進行を無理に使う、とかされていないですよね。

私は色彩とか風などからイメージを受けて表現する曲が多いんですけど、たとえば「Musicuriosity」とか、色鮮やか感じですよね。その理由はコード進行を先に考えて作られていないと思う。AABAだとか、ABACだとかいうフォームにもとらわれていないんですよね。着地点もキャッチ―だし、一回聴くと耳に残るという印象ですかね。そういうのは性格からの影響が多分にあると思います。日本人だから日本人が共感できるコード進行とかを選ばれているというのがあるのかもしれないですね。

――演奏していて難しい曲とかありますか?

「Fellowship」ですね。イントロが難しかったです。録音でも何度も練習し直したりしました。そのときにみんなが協力的で、「がんばれがんばれ」とか応援してくれて有難かったですね。
何曲か根を詰めて、今日中にこれは絶対、録らなくちゃいけない曲もあったんですが、みなさんいい雰囲気をつくって下さって、上手い人っていい人が多いんだな、って思いました(笑)楽しかったです。

――弦牧さんと光岡さんのリズム隊はどうでしたか。

やんちゃな少年が遊んでいる(笑)面白くて生き生きしてる。2人のアニキ、いつも頼りにしてます。

●今西さんにもインタビューに参加してもらって
――いま、今西さんの曲についてうかがっているんですけど。

柳原: 「Smile Maker」とかキャッチ―ですよね。色彩豊かな曲が多いですよね。

今西: 作曲するときにカラフルな曲にしよう、というのは心掛けています。

談笑する今西さんと柳原さん

――當村さんのバッキングについてはどうですか?

今西: まあ、キーマンですよね。ぼくとか横尾くんなんかはコンピングしやすいけど、當村くんはただならぬ緊張感があるから、難しいかも。

柳原: 當村さんの場合、まず光岡さんがどう動くかをみます。でも、光岡さんけっこう我が道を行って動じないですよね。

今西: うん、そうですよね。

――光岡さんは、インタビューでは弦牧さんの反応をみてから動く、って言っていました。弦牧さんが見失わないようにキープすることもあるって。

今西: それはあると思う。

柳原: 弦牧さんは當村さんのこと大好きなんやなあ、と思う。実際、梅田で演奏したとき、デュオになって10分くらいずっと演奏していたことはある。

今西: 10分は言いすぎやけど(笑)、体感10分くらいだったかも。

柳原: このバンドのフロント3人は全然、キャラクターが違ってて面白いですよね。

●好きなピアニストについて
今西: 好きなピアニストとか誰なんですか?

柳原: キース・ジャレットとかアーロン・パークスかな。あっ、ハービー・ハンコックも。

今西: なるほど、やっぱりそういう感じか。全然違うかもしれないけど、ケニー・バロンとかフレッド・ハーシュの新譜聴いてて柳原さんっぽいとこあるなあ、って勝手に思ったりしてました。

柳原: ああ、ハーシュは好きです。めっちゃはまったときもあります。最近はすごい新譜だしてますよね。神々しい感じも好きです。あと、ブラッド・メルドーも好き。

今西: えっ、メルドー好きなんや?なんか、あの人は冷たい感じがするでしょ?暖かくないイメージかな。バラッドとか弾いてもなんか冷たい感じがするわ。音色がキーンってしている。

柳原: でもそれは研ぎ澄まされた感覚からきているものだったりしません?

今西: ああ、そうなんかも。でも由佳ちゃんは何弾いても暖かいもん!

柳原: ゆるゆるですか(笑)

今西: いやいや、心をこめて弾いてくれている感じがする!

――確かに、ジ・アート・オブ・トリオの頃は厳しい音楽をやっていたと思うんですけど。

柳原: あのトリオは疲れていると私、聴けないときがありますね。

今西: 分かる。しんどい時あるよねー。

柳原: お子さん生まれてから変わった気がします。『Highway Rider』(Nonesuch)とか。

今西: へぇ。あれお子さん生まれてからなんやー。

談笑する・・・パート2

●最後にドラマー、柳原由佳について
――学生時代にドラムスもされていたと聞いたのですが。

柳原: バークリー音大もドラムスで行こうかと思ったくらい好きです。

今西: 今はやっていないの?

柳原: 今はやっていないです。またやりたいですね。

――いつか、柳原さんのドラムスが聴けるのを楽しみにしています!

<後日談>
インタビュー終了後、今西さんは「全然、アシストできてないっすわー」などと自省しておられましたが、メンバー同士の会話は通常のインタビューと全く内容もノリも変わるので面白かったです。たとえば、好きなミュージシャンを尋ねるということの嫌味のなさや、その後の会話がスルスルとでてくるのは同じレベルの仲の良いミュージシャンだから聞くことができたんじゃないかな?と思いました。

しらきたかね

2018年11月1日

すっかり寒くなりましたね。
寒さにめっきり弱い僕は今日からダウンを着込んでもう冬の心づもりです。
ダウンあったかい。最高。
今回のハロウィンジャンボで一等の三億円を当てて、今頃南の島で豪遊してるはずだったんですが、、、今日も仕事です。
コツコツ頑張ります。
また年末ジャンボに期待したいです。

さて、このブログの更新と言えばここ最近は『PORTRAIT』発売連動企画、作家しらきたかねさんによるセクステットメンバーへのインタビューばかりでこうして日記を書くのは久しぶりです。

この秋は楽しみだったCDや本が一気に発売されるのでもうウキウキです。

Christian Mcbrideの新譜『Christian Mcbride’s New Jawn』ではアメリカ留学中に年下なのに凄いトランペッターがいるなーって毎度セッションやライブで感心ばかりしていたJosh Evansが参加していて、前から楽しみでした。
コードレスカルテットなのでどうしても取っ付きづらいし小難しく聞こえるのは仕方ないとは思いますが、メンバー全員が楽器を自分の体のようにフルに扱えててとても面白いです。

発売は少し前だったみたいですが、Andre HaywardとChris Jonesの双頭名義の『Way Back Home』がめっちゃストレート・アヘッドな「どジャズ」で好きですね。
5曲目に収録されているジャッキー・マクリーンの書いたFブルース、Bird Livesは留学中よく演奏していた曲で懐かしくなりました。
どの曲もAndre Haywardのソロ最高です。
もっとCD出して欲しい。本当に。

David Hazeltineの『The Time Is Now』も良い感じです。
やっぱりこの人のリハーモナイズが僕的には一番好きです。自然だしカラフルだしお洒落。
またゆっくり研究させてもらいます。

Walter Smith IIIとMatthew Stevens参加の『In Common』が今一番のお気に入りです。
CD一枚で37分という短い作品なんですが、繰り返し聴きたくなります。
ヴィヴラフォンのJoel Rossが良い仕事してますねー。

他にもAmbrose AkinmusireとかMiguel ZenónとかWolfgang Muthspielとかの新譜も買いましたが、なんか紹介がめんどくさくなってきたので省きます。

さて、本の方は何が発売されるかというと、いよいよ明日、僕の一番好きな作家、伊坂幸太郎さんが一年ぶりに新刊を出されるんです!
待ちきれん!!
今から仕事前に本屋を覗いてみようと思います。
一日早く置いてないですかね。

そして、11/16には森見登美彦さんの新刊も出るということでいやー楽しみ!

『PORTRAIT』インタビュー記事はこれから毎週月曜日あたりに更新予定です。
また気が向いたら日記も書きます。
では寒いので皆さん風邪などひかないようどうぞお気をつけて下さい。

P.S. 今本屋覗いたんですがやっぱり伊坂幸太郎さんの新刊まだでした。明日が楽しみ!

2018年11月のライブスケジュール

この先決まってるライブスケジュールはメニューにあるLive Scheduleで全部公開していますのでそちらもどうぞご確認下さい。

11/4(日)Dear Lord(放出)
Dear Lord7周年記念企画
今西佑介セクステット
開場 18:20
開演 19:00
残席3席、要予約(℡090-8141-7309まで)
¥2500(無料おつまみ有り)

11/14(水)
今西佑介セクステット 5th CD “PORTRAIT” 全国発売
全国の大型CDショップ、Amazonなどの通販サイトなどで販売
試聴はMusicより
¥2000

11/17(土)ペインクリニック
ハードバップ研究会

11/28(水)シアタージャジー(元町)
野江直樹(ギター)さんとデュオ
1st 20:00-, 2nd 21:00-
¥2000

11/30(金)Cafe萬屋宗兵衛(元町)
今西佑介セクステット
1st 19:30-, 2nd 21:00-
¥2500(学生¥1500)